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デジタルとアナログ

「デジタルとアナログ」について論じなさい。

デジタル表現の無機質なクールさは完全な均一さに所以する。現代のデザインの主流であるシンプルイズベストの考え方にはこの均一さがうまく合致し、それ故にこの頃はグラフィックデザインにせよプロダクトデザインにせよ各所でデジタルによる表現が用いられるようになった。

質を落とすことなく無限に複製を可能とするデジタルデータは出来るだけ多くの人の目に触れることで価値を生み出す。少数に高質なものを、より、多数に安価なものを提供するのが重視される市場においてはデジタル表現が発達するのは当然とも言えよう。だがしかし、無機質的なデザインの中でのみ生活することは何とも味気ないことのように思えて仕方ない。デジタルは生きていないからである。

アナログ表現の最たる魅力とは、生まれたものに人間味であったり周囲の環境であったりを感じることができる点にある。

水の含み具合によって起こる掠れや滲み、絵の具の厚み、紙や素材の質感、時と共に変わる色合いや使用感、そういった数値化出来ない部分こそが味を生み出す。不均一さは有機物に必ず備わるものであり、だからこそアナログ表現の不均一さは生を感じさせる。生きたものがもつ生々しい迫力にこそ人間は感動するのである。

私がアナログ表現をより重視するのはこのためである。以前は絵画や彫刻もネットに上がった画像を見ればいいと思っていた時期もあったが、やはり美術館で現物を目の前にしてみると、画像では伝わらない迫力というものがひしひしと伝わってくる。

名作と言われる絵画のどれも、実際に目前にしてみないと何故名作と言われるのか分からないことは多々ある。デジタルで作成された画像にはない魅力というものがそこには確かに存在するのである。

今後の私の表現に生かしたいのもやはり、アナログの、人間味を感じさせる部分である。例えば、球体関節人形や市松人形、ビスクドールはアナログでひとつひとつが手作業で作られるからこそ、あの生々しさ、あの魂が籠っているかのような迫力が生まれるのである。

同じ形を無限に生産するバービー人形やプラスチック人体模型ではあの魅力は出ない。人間自身を彩るものが、人間自身を象るものが、生を感じさせないデジタルなものだけであってはならないと私は思う。人間というものをデザインの目で語ることにおいてデジタルは効果的でない。生命感という数値化し難いものをデジタルは拾えないからである。

これは、武蔵野美術大学基礎デザイン学科へ推薦入試で合格した受験生が受験対策の過程で書いた小論文です。受験対策期間が長かったこともあって、高校3年生でありながら、しっかりとデザインについての考察・論述ができています。

美大予備校のデッサンや色彩構成ではテクニックは身についても、デザインについての知識や考え方はほとんど身につきません。他予備校から当塾に移ってきた受験生は、当塾の授業で初めて「デザイン」について真剣に考え、その深みを知ったと皆さんおっしゃいます。

このやり方は、特に推薦入試や帰国生入試などの特別入試で大きな成果を上げています。デザインに対する考察ができる受験生は作品制作のクオリティが高くなり、志望動機提出や面接の際も際立って目立つことができるので、教授の目に留まりやすい傾向があります。


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