「道」
【多摩美術大学 一般入試/芸術学、武蔵野美術大学 映像科 型課題】
魔
道は歩かなければならないなどとは、誰が決めたというわけでもない。それでも人は、道を進んで行ってしまう。
道は常に二方向へと誘導を行う。右か左か、前か後ろか。道の真ん中に立つだけで、人は進むべき方向を二通りに決定されてしまう。
電柱の陰に座り込む。行き交う人混みの流れを傍観してみる。人は目の前の道を行き交い、止まることを知らない。ただそこに道があるというだけで、人は二通りに制限された選択肢を何の疑問もなく受け入れる。
私はそれに、逆らってみたくなった。だからこうして道端にしゃがみこんで、外の人間が知ることのない真実を知ったような顔をして、人の波を観察し続けているのだ。
しかし私もいずれ、この電柱の陰から立ち上がった時に、脅迫的な「二方向の選択」を突き付けられるのである。「道」というテリトリーに入り込んだ瞬間、どんな傍観者でも、二方向の魔力から抜け出せることはできないのだ。
(講評)
「道」の持つ本質的な部分が斬新な視点で説明されています。なぜ道がそのような魔力があるのか、あるいはなぜ人はそのような魔力に取り付かれてしまうのかについても考察を加えてみると、さらに深い内容まで追求できるかもしれません。
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