「恥」
【多摩美術大学 一般入試/芸術学、武蔵野美術大学 映像科/基礎デザイン科 型課題】
ざらついた記憶
真っ白で綺麗なお皿が、恥をかいた。
洗われたばかりの、純白のお皿。水滴が布巾で拭われ、ピカピカに磨かれて、料理が乗せられるのを、棚の奥で神妙に待っている。
そのはずだった。
しかしお皿が取り出された時、既に別の深皿に、キュウリとレタスの緑、トマトの赤、パプリカの黄色が、華やかに盛り付けられていた。つやつやの色。瑞々しく、新鮮に。
取り出されたお皿は、期待した。自身の純白の上に色鮮やかな、別の料理が盛り付けられることを。ぴかぴかの白が、料理の色を際立たせ、さらにおいしく美しく、食べる人を魅了することを。
裏返された。そこから全てが、狂いだした。
蓋。ただの蓋。純白の皿は裏返され、極彩色のサラダにかぶせられた。剥き出しになった、かすれた小さな真ん中の円。艶やかな純白の裏側に、そんな荒れ切ったザラザラの面を剥き出しにして。
(講評)
物語形式の小論文です。美大の小論文はいわゆる「論文」形式ではなくてもOKです。通常は裏返されることのないお皿が裏返されることを「恥」ととらえ、普段は注目されることのない部分がさらけ出された事実を描写しています。
威厳
大きく、どっしりと。すいかはそう育てられてきた。いっぱいの太陽を浴び、十分に水を吸い、自らの果肉に瑞々しさを蓄えながら。
収穫され、店頭に並べられても、大きく、どっしり。他のどの果物も差し置いて、すいかはその威容と存在感を、辺りに見せつける。
一人の少女の手に取られるまでは。
網に入れられ、少女に浜辺へ運ばれたすいか。網から出され、照りつける太陽の下に置かれ、そのままじっと待ち続けた。無慈悲な棒切れによって、叩きつけられるように破壊されるまでは。
ぱっくりと割られ、真っ赤な果肉が剥き出しになった。
すいかは恥をかいた。大きく、どっしり。どうせ割られてしまうのなら、そんなものが、何の役に立つというのだろう。剥き出しの果肉。無秩序に散乱した、赤い果肉と黒い種。
無防備になったすいかは、棒切れの衝撃のままに、真っ白な砂の上でふるふると震えた。
(講評)
上記作品同様、物語形式の小論文。他の野菜より存在感のあるすいかがすいか割りによって無惨に割られ、中身がむき出しになって散乱することを「恥」と捉え、それを威厳が崩壊する様子として描写しています。
Eメールでの美大の小論文通信添削に興味をお持ちの方は、以下のメール送信フォームに必要事項をご記入の上、送信ボタンを押してください。
送信エラー等の場合はこちら>> Eメール |
>> 美大の小論文 参考作品 カテゴリの一覧はこちら
Powered by Estore: modified by Ace Art Academy
|