美大って、デッサンできなきゃ受験できないんですよね?
そんなことはありません。デッサンができなくても受験できる大学/学科は、けっこうたくさんあります。
確かに、「油絵/日本画/彫刻」といった「ファインアート」、近年、多くの受験生に人気の「デザイン系学科」では、ほとんどの場合、受験科目にデッサンが含まれています。
しかし、デッサンの対策をしなくても、受験できる学科が存在しています。それは、「映像系学科」と「芸術学系学科」です。
映像系学科
映像系学科の場合、受験で出題されるのは主に「小論文・作文(文章による表現)」「感覚テスト(絵+文章による表現)」になります(大学/学科によっては、デッサン受験で入学できる大学も存在します)。
感覚テストの中には「絵」が含まれますが、これは、「デッサン」とは大きく異なります。美大受験におけるデッサンとは、総じて目の前に与えられたモチーフの姿形を正確に捉え、それを画用紙の上に再現することを意味しますが、映像系学科で求められる能力は、形を正確に捉える能力とは別物です。
映像を志す人の場合、形を正確にとらえられるという意味での「絵がうまい」必要は特にありません。映像作家にとって必要な「絵」とは、いわゆる絵コンテ。つまり、自分の採りたい映像のイメージを撮影スタッフに伝えることができれば、それで映像の制作は進んで行くのです。
ちなみに、映像系で「絵がうまい」ことが求められる場面があるとすれば、それはアニメーター(いわゆるセル画描き、のイメージ)になります。これは、どちらかといえば、「美大」ではなく、「専門学校」の範疇になります。
芸術学系学科
芸術学系学科の場合、多くは「小論文(文章で論じること)」が求められてきます。
美大の中でも、芸術学系は、多くの場合は「自分で作品を作る」のではなく、「作品を作った人やその作品」と社会や文化との関わりを模索していく立場を取る人達が目指すべき学科です。
そのことから、「作品を作る」よりも、「作品について論じ」たり、「社会や文化について論じ」たりすることができる受験生が求められ、そのために、「小論文」という形で、アートと社会・文化に関連する様々な意見や考え方を聞き出そうとするのです。
小論文に関する注意点
気をつけたいのは、映像系学科に関しても、芸術学系学科に関しても、求められているのは一般的な知識などではなく、「その人自身の考え方」である、ということです。
「小論文」というと、一般大学の小論文の対策をイメージしてしまう受験生もいますが、残念ながら、一般大学用の小論文の対策は、美大の映像系/芸術学系の小論文対策としては、時として逆効果となってしまいます。
理由は、美大の小論文で求められるのが、「自分にしか言えないことを、誰にでも分かるように書く」であるのに対し、一般大学の小論文で求められているのが、「みんなが知っていることを、間違えずに書く」ことがほとんどだからです。
芸大/美大で求められているのは、あくまでも受験生自身の個性・独自性です。ですから、美大専門の小論文の講師に対策を受け、その過程で自分の才能と感性を開花させ、試験でその独自性の素晴らしさを文章という形で表現することができるようにならなければなりません。
当サイトの小論文指導が目指しているのは、まさにそのような受験対策です。だからこそ、個別指導を重視した様々な指導プランを提供しているのです。
自分自身の個性と感性を文章で表現できるようになれば、デッサンができなくても、映像系学科や芸術学系学科に受かることができるようになります。美大に興味のある受験生は、ひとつの選択肢として、映像系学科や芸術系学科を志望してみても良いのではないでしょうか。