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Eメールで小論文指導 添削/講評サンプル

課題内容

「写真が社会に及ぼす影響について、例を挙げて600字で論じなさい。」

作品1

 写真は、私たちが生きる社会でヒーローを作り上げることができると思う。
 今日では毎日様々なスポーツ選手の写真を見る。その姿を見て、選手に憧れる人はたくさんいるだろう。しかし、どんなにすばらしい選手でもその姿が広まることなければ、その存在さえ広まることはない。反対にその勇姿や感動が写真によって広まれば、その選手は写真を見たたくさんの人のヒーローとなり得るのだ。
 だが、被写体がスポーツ選手の様に本当のヒーローである場合が全てではない。ヒトラーは光を利用して自らを偉大に見せてきた。その姿が写った写真を大勢の人間が見ることで、見た人間までもがヒトラーをヒーローの様に思うことになったのだ。この事は現在にも見ることができる。今、悪徳な宗教に騙されている人がどれ程いるだろうか。優しげに微笑み、輝かしく写真に写った宗教の指導者は、信者の目にはヒーローのように映る。たとえその姿がほんの一瞬の作り上げられた姿だとしても、そんな写真しか見ることのできない信者にとってそれが全てになるのだ。
 写真に写る人物がどんな人間であったとしても、その写真に写る姿が印象的であればあるほど、見た人のヒーローになり得るのであり、社会の指導者ともなることができるのである。

作品1 講評

○全体的な印象
 「写真とヒーロー」というテーマの選び方は、独自の個性が見られ、良いと言えます。また、文章の構成や段落分けのやり方も、わかりやすくなされているといえるでしょう。出題されたテーマから外れることもなく、課題違反による減点もありません。今後も、このような形式で文章を書くことが望まれます。

 ただし、文章中に使われている実例が「スポーツ」「ヒトラー」「宗教」と多岐に渡っているために、少々論点が散漫になっている印象を受けます。

○問題点
 「写真とヒーロー」という独自性のあるテーマを見つけ出した割には、書いてある内容が一般論であるかのような印象を受けてしまいます。その理由は、実例として取り上げている内容が「スポーツ」「ヒトラー」「宗教」という、それ自体が大きな一つのテーマとして扱われているものであるから、といえるでしょう。

 600字という字数は、決して長い字数ではありません。このような短い文章を書くことを要求されている場合は、論点を絞ることが重要な要素となってきます。つまり、「スポーツ」「ヒトラー」「宗教」の3つのなかから、まずは論点を1つに絞ったほうが、より突っ込んだ内容の文章が書けるでしょう。

○どうすれば、独自性を打ち出せるか?
 小論文が課される、ということは、文章によって自分の個性を伝えることが要求されているということでもあります。「スポーツ」「ヒトラー」「宗教」のうち、どれが一番自分の個性をよく引き出す素材となるかどうかを考えてみて下さい(それが「独自性」となります)。そして選んだ素材(「スポーツ」「ヒトラー」「宗教」)の一つについて、自分の実体験や生活環境で身近な事例をネタとして、「写真とヒーロー」という視点で語れるような具体例を挙げていくことになります。

○一般論について
 先の当方からのメールで、「一般論では良くない」というような内容を書きましたが、実は、人を感動させたり、大事だと思わせる内容というものは、「一般論」であることが多いのです(例:「嘘をついてはいけない」「人間関係は大事にしなければならない」など)。そうなってくると、美大の小論文で大切になってくるのは「一般論である内容を、どう一般論でないように見せるか」ということになります。例えば、文章の結論部分である

>>写真に写る人物がどんな人間であったとしても、その写真に写る姿が印象的であればあるほど、見た人のヒーローになり得るのであり、社会の指導者ともなることができるのである。

 の言い回しは、明らかに一般論的です。しかし、結論としては間違いなく優れています。結論部分が一般論的になってしまうからこそ、文章の主要部分で独自性を打ち出してみて下さい。

作品2(講評を踏まえての同一課題でのリメイク:書き直し)

 ヒーローとなり得る人間が社会の中で権力を持つ時や、社会を動かす時に写真は大きな役割を担うことができる存在であると思う。
 その例として、ヒトラーがポスターやパンフレットという形として写真を利用していたという事実がある。ナチス政権は政治の中で第一党になるために、映画という映像メディアなど大衆の心を掴む手段を使ってきた。映画は、その当時としては、珍しさも手伝って、多くの人の気を引くことができただろう。しかし、映画に劣ることなく写真も、当時のドイツ国民がナチスを支持する事に役立つメディアであったのではないか。なぜならば、私たちにとって写真とは「事実である」イメージが強いメディアの一つだからだ。映画はその物語性から作り物と判断されてしまうことがある。対して、写真は普段撮られるものが事実であることが多いために、私たちが事実として捉えやすく、信用されやすい。写真の中のヒトラーが好印象を与えるものであれば、実際のヒトラー自身も大衆に好印象を与える人間だと信じさせてしまうことが可能なのだ。だからこそ、写真はポスターという形で現在でも選挙の際に多く使われるメディアの一つになるのだろう。費用という面だけでなく、事実を伝える事に対する信頼性も写真が社会の変化の時期に使われる理由だと思う。
 この様に、写真は今も変わらず社会が新しいヒーローの存在を見つけだすときに私たちにとって大きな影響を及ぼし得るのだ。


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