マドラー(英語: cocktail stirrer )は、カクテルなど飲み物をかき混ぜる目的で使用する、飲み物についてくる細長い棒のこと。
氷が入っているカクテルの場合、時間とともに氷は溶けていってしまい、溶けた水分が分離して上に層を作ってしまいます。それをマドラーで混ぜ、味を圴一にするために使用します。また、フルーツなどがグラスの中に落とし込まれている場合、マドラーでフルーツを押しつぶして果汁を絞り出し味を調整したりするためにも使用できます。
棒状になった食材や香辛料(例:セロリ、シナモンなど)がマドラーとして使用される場合がありますが、これは「カクテルを混ぜる」というマドラー本来の目的に加え、ビジュアルにアクセントを与えたり、味にアクセントを与える効果もあります。
マドラーはビジュアル的なアクセントにもなるものですから、様々なデザインのものがあり、素材も金属やプラスチックなど、多岐にわたっています。
なお、日本語の「マドラー」は、英語の "muddler「かくはん棒」" という言葉に由来していますが、英語の "muddler" の本来の意味は日本語で言うところの「乳棒」もしくは「すりこぎ
」に近いもので、例えばモヒート(Mojito)などのハーブを使用するレシピのカクテルを作るときに、グラスの中でハーブなどをすりつぶすための棒のことを指しています。"muddler" を Google で画像検索してみれば、本来の "muddler" の画像がたくさん出てきます。"stirrer" もしくは cocktail stirrer" を画像検索すると、日本語でいう「マドラー」が表示されることがわかります。
この本来の英語の意味の "muddler" は、バーテンダーがカクテルを作るときに使用するもので、お客さんに出されるカクテルについてくることは、基本的にありません。また、「かき混ぜる」ことを目的とするものには他に「バースプーン」がありますが、これも同様にバーテンダーが使用する道具であり、お客さんの立場でバースプーンを使用してカクテルをかき混ぜることはありません。
カクテルやバーにまつわる日本語は、欧米で使用されているものとは異なった意味で使用されているものも多いといえます。高度情報化時代に伴って言葉の転用や誤用が様々に判明してしまいますが、このような言葉の転用や誤用は日本独自の間違いというわけではなく、「お国柄」や「文化」の一部で、様々な国や文化で当たり前のように存在するものです。
「カクテル文化=英語表記」というのも、本来はおかしいことだとは思いませんか?カクテルは、様々な国で生まれた様々なお酒が関わるものなのですから、英語(イギリスやアメリカの言葉)だけでカクテル文化を表現するのは、本来はあまりにも偏っているやり方のはずです。
ですから、「日本では、『マドラー』は英語の "cocktail stirrer" を指す」という日本文化が、カクテル文化として形成されてきたととらえ、大切に育んでいけば良いのではないでしょうか。日本国内では、胸を張って "cocktail stirrer" を「マドラー」と呼んでいけば良いと思います。海外の情報があまり入ってこない時代に先人達が苦労して作り上げてきた日本のカクテル文化ですから、その人たちの努力と工夫と思い入れを、我々は大切にするべきだと思います。
